今回は下図の上から三段目の薄灰色のブロック、いわゆるR車と呼ばれるグループのお話です。
R車で製品化されているのは画像の黒枠黒文字、7801-7901形の冷房化改造後幕取付前、7861-7961形の冷房化改造・幕取付後、3000系の三種類です。
このグループは製造途中で様々な設計変更がありましたが、製品ではその多くは省略され、前面の竪樋の有無のみが再現されています。ではモデルとされたであろう時期の実車と模型の形態がどう一致しているか、対応関係を見ていきましょう。
前面の看板掛けは1968年以降製造の竪樋なしタイプで、最初に製品化された7861-7961形(64以降)に合わせた仕様となっています。側引戸天地寸法は1968年以前製造分、前面に竪樋のついた車両に対応します。側引戸窓寸法はハニカム扉のもの、90年前後から見られる仕様です。
鉄コレでは7861形にのみジャンパ栓納モールドがありますが、3000系末期を除き、神戸方のユニット端の妻面ないし先頭車には必ずジャンパ栓納がありますので、適宜追加すると良いでしょう。
私感ですが、看板掛けはまだ修正が簡単なものの、側引戸の加工は面倒くさく粗も出やすいので難度が高いです。側引戸に関しては本記事では割愛することとします。
では製品から改造によって製作できるものについて、大まかに見ていきましょう。
3521~3526,7801~7834,7901~7921,7923~7934,7861~7863,7961~7963が竪樋付きのタイプ、3527~3532,7864,7866,7868,7870,7872,7964,7966,7968,7970,7972が竪樋なしタイプです。製品での作り分けが竪樋と方向幕の有無程度なので、改造難度などを考慮して、基本的に種車の選定は竪樋の有無で決定します。
7922はマル改と呼ばれるグループなので、こちらの記事最下部を参照してください。
3521,7801,7901,7861,7961形非冷房
竪樋付きタイプは7801-7901形鉄コレの屋根を交換、竪樋なしタイプは7861-7961形鉄コレの幕撤去、屋根交換などで制作できます。車外スピーカを削り取り、車側灯は上側だけ除去します。妻面は妻引戸を撤去して、固定窓も二段サッシ窓にします。
非冷房屋根は車番や昇圧前後などで形態が異なります。無線アンテナは大阪方先頭車にのみ取付で、7801形の初期製造組は〇形アンテナ、それ以外は基本的に□形アンテナです。屋根などを適宜用意すれば、意外と簡単に非冷房時代を作ることが出来ます。
冷房化改造直後
冷房化改造の更に後には目に見える大きな変化として、無線アンテナ更新や車側灯・車外スピーカ増設(鉄コレにような形態になる)、方向幕取付等がありますが、1975年頃を中心に抵抗器更新も実施されています。鉄コレの床下はどの形式においても何も合っていないので、本シリーズでは言及しませんが……
冷房時代の場合、方向幕取付前は7801-7901が既に製品としてありますので、3521と7861さえ作れればR車は揃うわけです。竪樋付きタイプの3521~3526および7861~7863,7961~7963は7801-7901形鉄コレの先頭車そのものでOK、竪樋なしタイプの3527~3532,7864~7872,7964~7972は7861-7961形の方向幕を撤去し種別サボ差しを追加して、7801-7901形と同じような形態に揃えればOKです。
基本的に方向幕取付前は3000系の出番はありませんが、7801-7901形が用意できない場合や、どうしても需給上3000系から作る場合は、方向幕撤去種別差し追加をすれば竪樋付きタイプにはできます。
冷房化改造時点で3521形は7801~7812,7901~7912と3連を組んでおり、3連を組成できる数少ない選択肢です。R車で統一して3+2で区間急行や急行、2+2+2や3+3で特急や急行といった様々な組成パターンで遊べるのが楽しいポイントでもあります。
方向幕取付後
方向幕取付後のR車は3000系と7861-7961形鉄コレがあれば十分です。
3000系が他のR車と異なる点は主に床下機器ですので、鉄コレとしての作り分けはありません。つまり、鉄コレでは7801-7901-3521(前期)と、3000系の区別はないということです。
3000系のうち、3527~3532から改造された車両を含む編成は、その車両のみ7861-7961形の先頭車を使用することで、竪樋のない車両が混じった組成を再現できます。3000系と7861-7961形の車体を入れ替えればよいわけですから、3000系2箱、7861-7961形1箱を組み合わせて、元3527~3532組み込みの3000系6両編成と、7861-7961の初期型(61~63)を1編成作るということができます。(実際に多くの方がやっておられるかと思います)
ところで、この方向幕取付後の時代になって初めて登場する、7871,7873という車両が存在します。これらは元々7970,7972で、パンタグラフを増設して床下機器を3000系に改造した車両から流用することで電動車とし、7801-7901形のうち31~34番と組み合わせて3連を捻出したものです。
7870,7872は竪樋なしである以上に特段の特徴はない(鉄コレ的観点)ので、上述の3000系同様に製作します。一方、7871,7873は竪樋なしタイプであるだけでなく、パンタグラフの位置に特徴がありますので、別途屋根を用意することで7871,7873を錬成します。
以上のようにしてR車のバリエーションを楽しむことが出来ます。R車は細かな差異はあるものの、若干扱いづらいレベルの差がほとんどなので踏み込んだ話はあまりしませんでしたし、非冷房屋根なんかは自分のBOOTHのリンクを貼るだけ貼った形になりましたが、ちょこちょこ違うというのを楽しめる方にとってはかなり面白い形式群かと思います。
次回は新製冷房・ラインデリアグループです。
いつも使ってる交換用パーツ
クーラー:TOMIX PC-300
ベンチレータ:GM 8073
パンタグラフ:TOMIX 0238,0257(0258ではない)
関連製品